これまでの歩みと想い

「よみがえれ、大栗川を楽しむ会」

~ これまでの歩みと想い ~


「よみがえれ、大栗川を楽しむ会」の活動のきっかけと目的

 2002年の春、暮らしの中にある身近な環境について話し合うグループが生まれました。生活環境の中を流れる大栗川に目を向けた時に、川の護岸の安全性や本来の川の自然環境とは何だろうかと考えるようになり、「大栗川を考える会」が立ち上がりました。

「大栗川の現状を知る」「こうだったらいいな!大栗川」を念頭に、川の役割を考えた護岸改修、親水化、環境保全、自然回復をテーマに、大栗川の現状を観察することから始めました。

 川の構造、歴史、植物、昆虫、鳥、水中の生き物とグループ分けして観察することからスタートしました。数回の観察会と数回のワークショップを行い、その結果の発表会、シンポジウムや展示会と進みました。

 2003年、「大栗川を考える会」はワークショップなどで出された想いを具体的な計画案として提案しよう、そして出来ることは楽しみながら実施して行こう!ということになり、会の名称を「よみがえれ、大栗川を楽しむ会」に変更して、想いを行動に移しました。

 数回のワークショップを経て出来上がった計画案は、

大栗川市民水辺プラン・2003
~ みず・ひと・いきものの新しい物語のはじまり ~

になります。


 この計画案は、平成15年(2003年)12月に東京都公園協会の技術部門奨励賞を受賞しました。このプランは、現在も私たちの活動の原点になっています。

以上のきっかけを踏まえ、活動の目的は次の三項目に集約されました。

  1. 大栗川を知り、次世代に繋げる川の魅力づくりを目指すこと。
  2. 忘れられ、関心の薄くなった川について、そして身の回りの自然環境について、より多くの方に知っていただくように努めること。
  3. 希薄になりがちな流域・近隣住民たちのコミュニケーションを深めること。

大栗川の自然の特徴や魅力、特に東京都内での貴重な自然について

 2025年現在、川の護岸はより安全な、そしてよりみどり豊かな、より水に親しめる形への改修工事が進められています。東京都が主催する工事の流域説明会を通して、計画案に対して質疑が行われ、説明を受けたり、望ましいことを提案したり、意見交換したりしています。

  



 大栗川には豊富な野草が生え、周辺の丘陵地帯・畑作地・水田や、更には数多くの大栗川のような中小河川からの流れを集めて大きな流れを作っている多摩川から、鳥や昆虫・そして時にはタヌキ・キツネ・イタチ・サル等の哺乳類などが訪れることで、種が運ばれ、数えきれないほどの種類の野草が生えています。その中には、近頃珍しいものも、また歓迎できない外来種の草花も増えていますが、それでも季節によっては美しい花畑になります。また野草の繁茂は、魚などの水生生物の格好の生育場となっています。



地域の方々との関わりや、協力体制について

 2019年末からのコロナ渦でイベントなどの活動を自粛して以来、主体的な活動は川の清掃が中心的なものとなりました。川のごみが海に流れ出し、特に世界中の海でマイクロプラスチックが問題視され始めた時期でした。身近な川のごみから減らさなくてはとの思いから清掃活動を続けています。会のメンバーは20人に満たないくらいですが、この活動を通しての地域広報やインターネットを通じての広報活動が実り、毎月開催している清掃活動には初参加の方が毎回のように来て頂いています。また多摩市の行政の支援、近隣大学ゼミの関心など、活動に協力・支援を頂く機会もしばしばあります。




 私たちの活動は、有志が集まった小さな動きですが、これまでの経験から、行政と連携し、他の自治体との協働、大学や研究機関・小学校・中学校・高等学校等の教育機関とも関わりを持ちながら活動を進めてゆくことがとても大切であると感じています。



昔と比べて大栗川はどのように変わってきたか

 今から65年ほど前の1960年(昭和35年)代に、この地域は多摩ニュータウン開発が始まり、その開発工事と並行して大栗川の護岸設置工事が進められ、ほぼ今日の流れになりました。それまでは川幅は狭く、今ほど深くなく、蛇行の多い川でした。周辺は水田が多く、また時には洪水も起きていたようです。


 川から少し離れた高台に人は住まい、集落もあったようです。まさに自然そのもののような流れで、生育する魚も多く、食料として魚を釣っていたようです。近隣地域にも知られていて、都心からも釣り人が来るほど豊かな川だったようです。

 多摩ニュータウンの入居が始まる頃には、大栗川流域も宅地化が進み、人口も徐々に増えていきました。そして行政名が村から町へ、そして市へと急激に変わっていきました。これに伴う多量な生活排水の川への流入によって水質は悪化し、生き物の生育にも支障が出るようになり、人々が目を背けるような、汚れた、悪臭の漂う川になってしまいました。


 市制になるころから、徐々に生活排水と雨水排水が分離されるようになり、現在の生活排水は処理施設を通って川に流されるようになり、生き物が住みやすい水質になっています。
 しかし昔多かったフナ類はわずかになり、在来のメダカは見ることは出来なくなっています。また、国内外来種(カワムツなど)、国外外来種(ブルーギル・コクチバスなど)の生息も確認されています。川に対する関心は増えてきたとはいえ、まだまだこれからという感じです。

活動の中で感じる環境保護の重要性や課題

 一口に環境保護といっても何をすればよいか判断の難しいところですが、ここでは身の回りの川を中心にした自然環境について考えてみます。まず、川には、護岸、洗掘防止河床・水流減速措置など人工的な工作物があります。そうした人工物のちょっとした隙間に草木が生え繁ることで、昆虫類が集まり、様々な生き物が生息・生育しています。水の中では水生生物が暮らしています。それらを全て含めて一つの河川生態系を構成しています。


 人・動物・植物を問わず、すべての生き物は、お互いに何らかの関係を持ちながら、その生態系の中で生きているということを、活動を通して見つけ出し、納得していかなくてはならないと思います。
 1本の草、1匹の虫、1人の人間とそれを取り巻く空気・水・土・そして陽光・雨・風は、すべてが何らかの役割を持っているということを意識できることが大切だと思います。それが自然環境の重要性を考える第一歩となるでしょう。


(文:前代表 相田 幸一、写真:代表 勝田 淳二)






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